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よろずたうん本のレビュー。
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『図書館戦争』などで知られる有川浩先生の作品。
第10回電撃ゲーム小説大賞受賞作です。

世の中が「塩害」に侵され街や人間が塩と化していく世界が舞台。
自分もいつ「塩」と化すのか分からない―――そんな世界でひっそりと生きる男、秋庭と少女、真奈。
静かに暮らす2人に次々と関わる人々。
ある日1人の男によってもたらされた話。
男がもたらしたその話は今までの2人の生活を大きく変えてしまうほどの影響力をもっていた―――。

相変わらず伝わりにくい文章で(苦笑)。
けれど、この世界観は読んでみたほうが分かりやすいと思います。
崩壊しつつある世界の中で穏やかに過ごそうとする2人。
最初は「他人」であったけれど、気が付くとお互いに「欠けてはならない部分」に変わっている。
その気持ちに気が付いた時2人はどう動くのか―――。
不器用で感情を上手く出せない秋庭、秋庭を信頼する真奈。
その2人の関係がとても羨ましく思います。

登場人物の心理描写がとても細かく描かれていて、感情移入しやすいと思います。
いつの間にか2人にじれったくなったり、お互いを思いやる2人の行動に感動したり。
…おっとこれ以上は(笑)。
是非に読んで欲しい作品です。

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帝都大学病院研修医の氷室夕紀は自分の目標である心臓血管外科で技術を学んでいた。
彼女が医師を目指したのには複雑な過去があり、真実を知るためには必要なことだった――。
一方で、同じ夕紀と同じ病院に勤める看護師の真瀬望の彼、直井譲治は彼女との会話からある情報を得る―――。



ストーリー全体が見えない『時間』というものに迫られている感じさえ受ける作品。
クライマックスに進むにつれ、手に汗握る展開になってきます。
夕紀の心に根付く過去と疑い、過去に縛られる譲治…どちらも主人公と言っても過言ではないと思います。
舞台が病院、心臓血管外科など外科系の用語、手術の様子などが出てきますがTVドラマで手術シーンを見たことがあればイメージは簡単に湧くので構える必要はないと思います。
イメージが沸きやすいように事細かに描かれていますしね(笑)。

夕紀と譲治2人だけでなく色々な人の想いが交錯する作品です。
人と人の想いが絡んでくる作品と言うのは結構重たい作品が多いと思われがちですが、この作品はそこまで重くなくすんなり読めると思います。
ある意味サスペンスと呼ぶべきか―――。
どのジャンルに入るかは一読あれ(笑)。

2008年本屋大賞にノミネートされた作品です。

幼馴染のトシ・シュン・ミッチョ・ユウちゃん。
彼らはある日の夜、丘に登り満天の星空を見上げ、お互いの夢を話します。
彼らの夢は「大きくなったら遊園地を作ること」―――。

それから数十年の時が経ち、トシとミッチョは夫婦になり北海道で、シュンとユウちゃんはそれぞれ東京でそれぞれの人生を歩んでいました。
もう会うことは無いだろうと思っていたある日…4人はある出来事をきっかけに再会することに。
しかし、そこには手放しで喜べないたくさんの秘密と出来事が数十年の月日と共にあったのです。


う~む。
このストーリーは一見にしかずと言うのでしょうか……。
本作は上下巻になっているのですが、濃厚な内容であらすじを説明するのが難しい
様々な事件、過去の呪縛、すれ違った心……。
幼馴染の4人だけではなく、4人に関わる様々な人たちの心の葛藤も描かれています。
過去の事件、世間を騒がせている事件……。
今、これを書くのに思い出しただけでも胸が痛い。
みんな自分は傷ついてもいいから他人には幸せになって欲しい。そんなお互いを思いやる心が痛いほど伝わってきます。
幼馴染だから、夫婦だから、家族だから……。
自分の人生を悔いなく終えるとしたら自分はどう行動するのだろう?
そして誰に会い、何を伝え、何を遺すことが出来るのか……。
そう考えさせられる1作でもありました。

ところどころ涙なくしては読めない部分もあり、ラストでは号泣してしまいました。
けれど、読み終わった後に心が温かくなれる作品であると思います。
重いストーリーかも知れませんが、すんなりと登場人物の心に近寄ることができ、惹き込まれる作品だと思います。

『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞をとった三浦しをん先生の作品。

寛政大学に入学予定の蔵原走(かける)はある日の夜1人の男、ハイジと出会う。
ハイジは初対面の走にいきなり問う。
「走るの好きか?」
ハイジの言葉に惹かれて走が入ることになったアパート竹青(ちくせい)荘――通称『アオタケ』。
そこには王子、ムサ、ジョージ、ジョータ、神童、ユキ、ニコチャン、キング、ハイジ9人の住人がすでに住んでおり、走が入ることで10人となる。
ハイジは言う。
「これで10人揃った」と。
ハイジが言いだしたことは10人で『箱根駅伝』に出ることだった―――。

これ、表紙買い&作者名買いをした作品です
初め、ハイジの突拍子な発言にアオタケの住人同様「無理だろう」と思いつつ読み始めました。
だって長距離の経験者がほとんどいないのにいきなり箱根駅伝出場って
アオタケの住人の生活ッぷりと言ったら散々たるもの。
けれど、ストーリーが進むにつれ「あれ?これはひょっとしたらひょっとして…」と思っちゃうんです。そのあたりにはすっかりアオタケの皆と一緒に箱根を目指しているような気分になるほどに惹き込まれました。
そして本番のシーン。
『箱根駅伝』は個人的に毎年よっぽどのことがない限り観ているのでイメージも沸きやすくまた、1人1人の走るシーンが走る本人の心理状態と走る情景がしっかり描かれており、鳥肌&号泣。ゴールの瞬間は「おぉーッ!!」と言ってしまうほどハマります、これ。

本当、何か打ち込むものを持てるってことは凄い。そして強い。
羨ましくなります。

言葉では十分に伝えきれないのがものすごく悔しい(笑)。
これ、絶対読んでみてください。本当に、本当におススメですッ
そして、『箱根駅伝』にハマること間違いなし

畠中恵先生 著 『しゃばけ』シリーズの6作目。
今回はまた数話の短編からなる1冊の本です。

これでシリーズも6作目。
一太郎をはじめ、みんなが格段に成長しているのが分かります。
少年から青年、そして大人になっていくみんなを細かく描いていて胸が切なくなります。

その中には、異母兄弟でもいつも一太郎のそばにいて守ってくれた兄・松之介の縁談話があがったことやいつも病弱な一太郎の遊び相手となってくれた大親友・三春屋の栄吉の思いなど…。
大事件というわけでもなくただ私達の世界にでもありうる身近な話がふんだんに描かれいます。
その周囲の変化を通じて一太郎は、徐々にみんなとずっと一緒にいたいけどいつまでも一緒にはいられないことを学ぶのです。

個人的には最終話『はるがいくよ』では一太郎を想う桜の精、小紅を中心に普段はあまり出てくることのない仁吉と佐助の2人の彼への想いが切々と綴られていて涙が出ました。

時代ものの作品は苦手と言う方でも、あまり苦にならず読むことが出来るのではないかと思います。


Writing:知之介


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プロフィール
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知之介&陸
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自己紹介:
某グループの会報を通じて知り合った、知之介と陸。
妙に意気投合し、友達になりかれこれ10年近くが経ち、今も尚絶妙なバランスを保っている。
現在、共同でホームページ『よろずたうん』を運営中。
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